madogiwa
PASTIME
サイトトップSynology 便利な活用色々 > iSCSIとファイル共有

iSCSIとファイル共有

掲載日:2012年12月9日 by gelsomino
iSCSI vs ファイル共有

Synology DiskStaionをiSCSIターゲットに設定しMac OS X 10.8.2(正しくはOS X Mountain Lionと書くべきか)で接続して、簡単にファイル共有との速度比較をしてみました。
Windowsは標準またはMicrosoftから提供されているイニシエータでiSCSIに対応できますが、Mac OS XはAppleが対応しないため、Studio Network SolutionsのiSCSIイニシエータソフトウェア「globalSAN」をインストールして試しています。globalSANの現行バージョン「5.1.0.336」は、Mac OS X 10.8.2の対応に問題があるようで、まともにiSCSIターゲットをマウントできませんでした。そのためサイト内で小さい扱いで公開されているプレビュービルド「5.1.0.400」を試用しています

システム環境設定のglobalSANの設定画面
システム環境設定のglobalSANの設定画面

globalSANはバージョン4まで無料でしたが、バージョン5から$89(高い!)の有料ソフトになりました(やむを得ず14日間のTrial modeを試用)。Mac用のiSCSIイニシエータは他にATTOの「Xtend SAN iSCSI Initiator」があって、こちらは$195(さらに高い!けどXtendは正式に10.8以降に対応しているようです)。無料で対応できるWindows他とは違って、MacでiSCSIを使うのはかなり高くつきます。

ところでiSCSIとは何か?について、私は詳しいわけではないため述べません(詳しく説明しているページが山ほどあるし)。またglobalSANについても、わりと古いソフトウェアのせいか情報が多く、DSMのストレージマネージャでiSCSI LUN(およびiSCSI Target)を設定にして、globalSANでIPアドレスとIQN(iSCSI Qualified Name)を設定するだけで(実際にはその後、ボリュームの初期化が必要ですけど)簡単に利用できますので、接続方法についても省略します。

Synology DSM 4.1のストレージマネージャ設定画面:iSCSI LUN
DSMのストレージマネージャでiSCSI LUNを設定
Synology DSM 4.1のストレージマネージャ設定画面:iSCSI Target
iSCSI LUNを設定すると同時にiSCSI Targetも設定できる

しかし、いくつか使用上の参考情報を。
今回globalSANを試用するとき、Mac OS X 10.8.2環境下ではiSCSIのボリュームがマウントできずに少々悩みましたが、Studio Network Solutionsのフォーラムにプレビュービルドを見つけて使うことができました。URLは以下の通りです。

それから試用するときの14日間の期限ですが、別のメールアドレス(gmailとかでOK)で試用キーを再発行すれば再度14日間使えます。現行版をインストールして後でプレビュービルドに気づいてインストールすると、残り期限に関係なく期限切れになるようですので、そんなときは試用キーを再発行すればまた使えます。

それと残念ながらATTOのXtend SAN iSCSI Initiatorは試用版がありません(ユーザ登録をしてDownloadのページに入っても何もありません)。そのためMacでiSCSIを試そうとするとglobalSANしか選択肢が無いようです。ご参考まで。

iSCSIとファイル共有の速度比較

timeを使って簡単にファイルコピーの速度を計測してみました。比較対象は、iSCSI、AFP、CIFS(SMB)です(NFSはコピー途中で原因不明のエラーが出たため面倒なので対象から外しました)。1GB/1ファイルと、約130MB/約16,000ファイル(たまたまあったphp-5.4.9のソース)のコピーを、手持ちのMacから実行して計測しています。
念のためそれぞれのDiskStationはDSM 4.1を再インストールして、まっさらなインストール直後の状態として、iSCSIのボリュームサイズ(iSCSI LUNサイズ)はテスト用に2GBを設定。DS209+は普段は小容量のSSDを入れて使っていますが、検証のために適当な750GBのHDDに乗せ変えた時間も計測しています。

なお厳格な検証では無く、適当に3回コピーしてその平均値を記しています。また使用機種や環境、コピーするファイルの容量やファイル数によって結果はかなり変わるようですので、あくまでもiSCSIとファイル共有のかなりおおざっぱな比較参考用ということでご了承ください(使用するHDDや接続環境、パッケージアプリの使用状況などによって大幅に結果が変わることもあり信憑性にかけた結果もあったので、一応まともな結果を記載しています)。

結論から言えばiSCSIの勝ち(当たり前か)。特に複数ファイルのコピーはiSCSIが圧勝。MacのTime MachineでiSCSIを使うと速いという記事を見かけますが、その通りの結果となっています。
なお記載は省略しますが、AFP/CIFS共にファイル共有が条件によっては異常に遅いことがあり・・・DiskStationをファイル共有重視で導入する場合には、ケチらずに上位機種を導入した方が無難なようです。
またMacはCIFS/SMBではなくAFPで接続する方が若干速い結果となっています。Macユーザを抱える環境にNASを導入する場合には、素直にAFPをオンにした方が正解みたいです。

1GB/1ファイルのコピーで、HDDよりも手持ちのSSDの方が若干遅い結果になっているのは、SSDの性能が原因かなと思います(安物の30GBなので)。それと書き込みキャッシュ(デフォルトで有効の状態)が効いて、性能差が出づらかったのかもしれません。ということでこの結果は記載ミスではありません。

※1GBのファイルは次のコマンドで作成 → mkfile 1g 1gb
※次のような単純なコマンドで時間を計測 → time cp 1gb /Volumes/extra/

DS209+ ※750GB HDD×1 iSCSI AFP CIFS
1GB/1ファイル 00:28.9 00:28.6 00:31.4
約130MB/約16,000ファイル 00:07.9 04:09.5 04:52.5
DS209+ ※30GB SSD×1 iSCSI AFP CIFS
1GB/1ファイル 00:30.1 00:29.8 00:32.5
約130MB/約16,000ファイル 00:06.7 04:03.5 04:38.2

搭載ドライブが異なりますが、DS710+でも速度を計測してみましたので以下に示します。また仕様の違いを簡単に記載します。ちょうど、CPUとメモリの差が出たような結果・・・機種によって速度差が大きいことを実感。最新機種ではもっと差が出るのかもしれません。そろそろDS209+から新機種に乗り換えようかなと思えました。

DS710+ ※500GB HDD×1 iSCSI AFP CIFS
1GB/1ファイル 00:16.4 00:18.9 00:25.9
約130MB/約16,000ファイル 00:04.9 04:32.7 04:30.2
  • DS209+
    CPU:Freescale PowerQUICC III MPC8533 PPC 800MHz / メモリ:512MB
  • DS710+
    CPU:Intel Atom D410 1.67GHz / メモリ:1GB

計測してみて

iSCSIはファイル共有に比べて速い!けど、ターゲット対イニシエータの1対1で使う必要があるし、特にMacではソフトウェアを買わなくちゃ使えないのが残念。globalSANの価格=$89は2TBのHDDが買えるぐらいの価格なわけで・・・。
しかし、Windowsを含めて他のOSはわりと標準的にiSCSIに対応できるため、SANとかサーバ用途など難しいことを考えなくても、活用次第では速くて便利に使えるかなと思います。

参考までにMacの内蔵ドライブ(512GBのSSD)でコピーした結果も記載します。内蔵のSSDはかなり速い方だと思いますが、複数ファイルのコピーではDS710+をiSCSIで接続した場合と僅差となって、iSCSIは速いと思える結果となりました。

Mac 内蔵ドライブ ※512GB SSD ローカル
1GB/1ファイル 00:02.4 00:00.0 00:00.0
約130MB/約16,000ファイル 00:04.1 00:00.0 00:00.0

また、一応Xbenchバージョン1.3のDisk Testで計測した結果も以下に示します。個人的にはベンチマークソフトの結果よりも実測の方が参考になるかなと思っています。

iSCSIとファイル共有:Xbench バージョン1.3 実行結果
Xbench バージョン1.3 実行結果

で・・・ここまで書いてなんですが、個人的にベンチマークって嫌いなんです。なぜなら車のカタログ燃費と同じで、書いてあるような性能を発揮しないことが多々あります。今回も条件をできるだけ合わせるために、初期化したまっさらな状態のDiskStationに対して、ファイル共有は1クライアントから接続して比較しましたけど、実運用時には裏で何らかのデーモンを動かしてたりクライアントは複数で・・・みたいになれば、今回の結果とは全く違うことにだってなりえるわけです。特にこの手の非力なCPUでメモリ容量が少ないNASでは、負荷が増えた瞬間にガクっと反応が悪くなったりして。古いPCで色んなアプリケーションを動かすと動作が重くなるのと同じような状態になって、ベンチマークの結果とはほど遠いことになったりします。
ま、しかし、iSCSIとファイル共有のざっくり簡単ベンチということで、少しでも参考になれば幸いです。続く・・・

 
 

その他のページ